ボートでのランディング技術について
ボートでのランディングは特に初心者が迷うシーンだと思われます。またベテランと呼ばれる人の中にもこの技術を勘違いしている方が結構います。
魚をキャッチする行程の中で最も難しいランディングシーンを的確に行い。バラす魚を少しでも減らすようにしましょう。
ランディングとは
初心者の方を基本に書くと、魚が掛かってからリールを巻いて、魚を近づけて、「この後どうしたら?」と問われることが多いです。
ランディングシーンは魚が最後の抵抗を見せる場面で、魚を掛けてから最もバラしやすい瞬間です。この瞬間をいかにかわして魚を取り込むかというのが醍醐味でもあるのですが、ランディング技術に関しては経験値と慣れは非常に重要です。
単純に言ってしまえば魚をたくさん取りこんだことがある人は、魚を掛けた直後から、この場所でこんな風に取り込むというイメージができているということです。
ならば初心者はどうしたらいいか?
基本的には船長やベテランの指示に従ってということですが、事前に魚の習性と動きを知っておくことで、主導権を渡さないことは重要です、
その① 魚の気持ち
魚の習性として、ボートが近づいてくるとボートの下に潜り込もうとします。
できるだけ障害物に隠れて危険をやり過ごしたいという本能的な行動だと思いますが、その行動を予測しておかないとボートの下に潜られてラインを切られてしまいます。
ボートの下にはカキガラやスクリュー、その他計器類などがあり、ラインやフックが絡んだり擦れたりすると魚をバラすことはおろか、
エンジンや計器の故障につながることもあります。
船底にもぐられそうな図
まずは魚が近づいてきたらボートの下に入られないように船底から引き出す方向に誘導することが大切です。
その② ボートの流れを考える
ボートでのランディングではボートが風や潮流で流されている方向を常に把握しておくことが非常に重要です。ボートの風下側で魚を掛けると魚の走る方向をよほどうまくコントロールしない限り、どんどんボートの下にラインが行ってしまいます。ジギングなど真下を釣る場合は特に顕著で、魚を掛けた後、釣り座を譲ってもらいながら風上サイドに周らなければなりません。その際スクリューや船底をかわしながらとなりますので、この辺りが初心者には難易度が高くなります。
まずは、ボートフィッシングに慣れない頃は風下で釣りをしないということが大切です。
その③ 水面で暴れさせない。
水面から魚を出さないようにするということです。初心者にありがちですが、魚が近づいてくると、
とにかく船の上にあげたいという意識が強くなりすぎて、魚を無理やり持ち上げようとしてしまいます。
ネットですくう場合でも魚体が持ち上がるほど、ロッドで引き上げる必要はありません。
※息が合わせないとなかなかすくえません。
魚は水面より上に引き上げられてしまうと、当然危険を感じますので激しく抵抗します。
激しい抵抗はバレやライン切れを誘発しますので、水面直下で魚体が大きく露出しないところでいなし、弱らせていくことが大切です。
またあまり持ち上げすぎてしまうとロッドの破損を招きます。
高価なロッドほど吊り下げた魚で折れやすいです。(ロッドを立てて魚を吊るすと急角度で曲がり高弾性のロッドはあっさり折れる)
高価なロッド=丈夫なロッドではありませんのでロッドの特性を理解しましょう。
その④ 巻きすぎない
これも初心者に多いですが、魚を寄せたいがあまり、リールを巻きすぎてしまいます。
気が付くとロッドのトップガイドのすぐ先に魚がついているような状態になってしまっていることがあります。
これは非常にバレやすい状況で、ロッドの弾力を全く使えません。
ランディングする際の適正距離はロッド一本分程度ラインを巻き残し、それ以降はロッドで寄せてくるというのが正しい方法です。
ドラグが出て距離が離れればまたロッド1本分残す程度に巻き取る。この繰り返しで魚を寄せてきます。
その⑤ ロッドを持っている人がネットインの指示を出す
語弊を恐れずに結論から言えば、
「水面まで来ているから掬えるだろう?掬えないのはネットを持つ側の判断が悪い!」
というのは全くの間違いです。
よく見かける光景ですが、魚を水面まで寄せてきて「早く掬ってくれ!」とネットを持つ人に訴えている状況。
これはネットを持つ側からすると非常に難しいことを迫られています。
なぜならロッドを持つ人こそが魚の状況が最も手に伝わって解るはずだからです。
まだ魚の体力が奪い切れていない場合、勝手な判断でネットを差し込むと魚を刺激し暴れさせてしまうため、
バレる確率を上げかねません。
本来ネットですくうタイミングはロッドを持っている人が指示を出すべきなのです。
「まだ走るのでネットは入れないで」
「もうそろそろ弱ってきたので行けそう」
「次の寄せで行きます!」
などネットを持つ人への的確な指示とコミュニケーションがとても大切です。
バシャバシャと元気に暴れまくる魚を無理やりロッドで持ち上げ「はやく掬ってくれー!!」と叫ぶのは、
魚との勝負をまだ制していない状態で、釣りの醍醐味を半減させています。
もっとゆっくりと堂々と魚の戦闘力を奪い、しっかり制してから、悠然とランディングを行うように心がけましょう。
三平一平爺さんも言っています。タモは悠然と使うもの ※カルデラの青鮒編より
その⑥ 魚の頭をネットに誘導する。
ネットを出す指示を行った後、魚をどう誘導してくるかとなります。
基本的にすべての魚は後退することが苦手な構造なので頭からネットに入るよう誘導しなければなりません。
そのため、ネットを持つ人に向かって頭が向くように魚の方向を調整します。
※悠々と誘導の図
この際、水面直下を滑らせるようにし、船べりに平行に誘導してネットインさせると最も安全にランディングができます。
状況によってできないケースもありますが(強風で船の流れが速い場合や、タイなど浮き袋が膨張して船から離れて浮いているなど)、
船べりに平行に誘導してくる釣り人を見ると「できる!」と思ってしまいます。
なぜならルアーやラインがネットを持つ人に干渉しにくいからです。
ネットを持つ人にロッドを向けるということは、もしもルアーが外れてしまった場合ネットを持つ人の方にルアーやジグが飛んでいくということです。これは非常に危険でキャストよりも負傷する確率が高いと考えています。
できるだけ平行に魚を滑らせてランティングしましょう。
その⑦ ネットインした後はすぐにリールをフリーに
初心者が最もできていないことの一つに、ネットインしているにもかかわらず魚をロッドで吊るそうとしてしまうことです。
船に揚げるまで魚を引っ張っておきたいという気持ちもわからなくはないですが、ロッドの破損につながる恐れがありますし
浅いネットの場合は、魚を吊るすことで魚がネットから飛び出すチャンスを与えてしまいます。
ネットに入った後はリールをフリーにして魚をネット内に沈めるようにしましょう。そうすればロッド破損もせず魚もすんなりとキャッチできます。
その⑧ 適正なタックルで臨む
適正なタックルやドラグセッティングで臨むことも重要です。
初心者の方に多いですが、脆弱なタックルで大物を掛けてしまい、15分も20分も魚に走り回られてしまうケースがあります。
お祭り防止のために他の人には上げてもらわないといけませんし、当然その間、釣りはできません。
ある程度きちんとリフトアップできるタックルを使わないと、他の人の釣り時間を妨害することになります。
皆さん人がいいので、「ゆっくりやっていいよ~」と言われますが、それも10分が限度かなと思います。
個人の自由とはいえ、他の人のことも考えてある程度の道具をそろえることは重要です。
また道具について自信がない方はレンタルが安全です。
ノットやライン強度など、しっかりと調整されたもので挑むほうが安定した釣果につながります。
いかがでしたでしょうか?
釣り人は、「魚をどうやって掛けるか」ということには注力をすることが多いですが、
「どうやって取り込むか」ということには目が行きにくいので、今回の学びが更なる技術向上につながれば幸いです。